お父さんとお母さんはひっくり返った後、ちょっとお話があるからってストールさんと一緒にお部屋から出てっちゃったんだ。
だから僕たちは待ってる間、お部屋に用意されてたお菓子を食べる事にしたんだよね。
「キャリーナ姉ちゃん。これ、すっごくおいしいよ」
「どれ? わぁ、これって前にお菓子屋さんで食べたやつだ」
キャリーナ姉ちゃんの言う通り、テーブルの上にはアマンダさんのお店のお菓子がいっぱい並んでたんだよ。
だから僕とキャリーナ姉ちゃんはとってもおいしいねって言いながら、それを食べてたんだ。
でもね、レーア姉ちゃんやお兄ちゃんたちはそんなおいしいお菓子を食べずに、ずっとお父さんたちが出てった扉の方ばっかり見てるんだよね。
「どうしたの、レーア姉ちゃん。」
「お菓子、おいしいよ」
レーア姉ちゃんは僕やキャリーナ姉ちゃんと一緒で甘いもんが大好きでしょ?
なのにそんなレーア姉ちゃんがちっともお菓子を食べないもんだから、僕とキャリーナ姉ちゃんは心配になってどうしたのって聞いたんだよ。
そしたらね、何でか知らないけどディック兄ちゃんが僕たちにお返事したんだ。
「お前らは、お父さんたちがどんな話をしているのか、気にならないのか?」
「お話? 僕んちのお話じゃないの?」
「いや、そうなんだろうけど……でもそれがどんな話なのか、気になるじゃないか。ルディーンはそうじゃないのか?」
「うん。だって僕、お話を聞いても解んないと思うもん」
ディック兄ちゃんに続いて、テオドル兄ちゃんも気になるって言ったんだけど、大人のお話は多分僕が聞いても解んないでしょ?
それにこのお家の事はストールさんに任せとけば、きっと上手にやってくれるはずだもん。
だからお父さんたちがどんなお話をしてるのかなんて、全然気にならないんだよね。
「なるほど、そういう考え方もあるのか」
「でも、ルディーン。ここはあなたが買ったうちなんだから、少しは考えないとダメよ」
その事を話したらね、テオドル兄ちゃんはそっかって言ったんだけど、レーア姉ちゃんは僕が買ったお家なんだからお父さんたちに任せっぱなしじゃダメっって言われちゃった。
「そっか。じゃあお父さんたちが帰ってきたら、何話してたのか聞いてみるね」
「本当ならそれが正しいのだろうけど、今回はわざわざこの部屋を出て行って話をしているんだから、多分聞いても教えてくれないでしょうけどね」
だから僕、お父さんたちに後で聞いてみるねって言ったんだけど、そしたら多分教えてくれないよって。
「え〜、レーア姉ちゃんが聞きなさいって言ったのに!」
「聞きなさいって言ったんじゃないわよ。少しは考えなさいと言っただけ」
レーア姉ちゃんはね、ちゃんと話は聞かないとダメよって言いながら、僕の頭をポンポンしたんだ。
コンコンコン
「あっ、お父さんたちが帰ってきた!」
それからちょっとしたらね、誰かが僕たちのいるお部屋のドアをノックしたんだよ。
だから僕、お父さんたちが帰って来たって思ったんだけど、
「お帰りなさい、ルディーン君」
「あっ! ニコラさんたちだ。ただいま!」
ドアを開けたらそこにはお父さんたちじゃなくってニコラさんたち3人が立ってて、僕におかえりなさいって言ってくれたんだよ。
だから僕も元気にただいまって言ったんだけど、よく見たらニコラさんたちが冒険者の格好でもメイドさんの格好でもなく、前にストールさんと一緒に買って来たきれいな服を着てたもんだから何で? って思ったんだ。
「ねぇ、ニコラさん。何で今日はきれいな服着てるの?」
「ああそれはストールさんから、ルディーン君の家族を迎えるのだからルディーン君が買ってくれた子にお福で出迎えなさいと言われちゃってね」
そう言えばあの服って、僕がお金を出して買ったんだっけ。
ニコラさんに言われてそれを思い出した僕は、だから今日はあの時の服着てるんだねって言おうとしたんだけど、
ガタン!
後ろで急におっきな音がしたもんだから、びっくりしてそっちの方を見たんだよ。
そしたらさ、何でか知らないけどディック兄ちゃんがすっごくびっくりしたお顔で立ち上がってたんだ。
「どうしたの? ディック兄ちゃ……」
「る、ルディーンこの人たちは誰……じゃなかったどなたなんだい?」
だから僕、ディック兄ちゃんにどうしたの? って聞こうとしたんだよ。
でも全部言い終わる前に、お兄ちゃんがいつもと違う変な言い方で僕にこの人たちは誰? って。
「ああ、先にご挨拶をしなくちゃいけなかったですね」
そしたらさ、僕が答える前にニコラさんたちが自己紹介を始めちゃったんだ。
「まずは一番年下の私から。アマリア・エクルースです。よろしくお願いします」
「私はユリアナ・ハットネンです。ルディーン君には、本当にお世話になってます」
「そして私がこの3人のリーダーで、ニコラ・キルヴィと申します。ルディーン君には森で危ない所を助けて頂き、その時の治療で借金奴隷……」
「奴隷!?」
でもね、ここまで言ったところで、ディック兄ちゃんが急にすっごく怖いお顔になって僕の方を見たもんだからニコラさんはびっくり。
両手を前で振りながら、大慌てでディック兄ちゃんに違うよって。
「勘違いしないでください。治療費によって本来なら借金奴隷になるところを、冒険者ギルドの特例措置のおかげで、ルディーン君預かりという立場になったのです」
「まぁ立場的には借金奴隷と同じようなものなんですけど、ルディーン君預かりになったおかげで冒険者時代よりいい生活をさせてもらってるんですよ」
ニコラさんに続いて、一番年下のアマリアさんがにっこりと笑いながらこういたもんだから、ディック兄ちゃんはててへ減って笑いながら?プにごめんねって。
「勘違いしてごめんな。奴隷と聞いてつい、かっとなって」
「うん、いいよ!」
って事で仲直り
そんな僕たちを見たアマリアさんは、くすくすって笑ってディック兄ちゃんにご挨拶したんだよ。
「初めまして。あなたはルディーン君のお兄さんですよね?」
「はい。お……じゃなかった、僕はルディーンの上の兄でディックと言います」
アマリアさんに僕のお兄ちゃんだよね? って聞かれたディック兄ちゃんは、何でか知らないけどピンってなって、いつもと違う変な感じでお返事したんだよ
「ねぇ、レーア姉ちゃん。ディック兄ちゃん、なんか変じゃない?」
「ええ、そうね。でもまぁ、あの様子じゃ仕方がないんじゃないかなぁ」
そう言いながらアマリアさんとお話してるディック兄ちゃんを見るレーア姉ちゃん。
「へぇ、ユリアナって子の方が元気で気が合いそうな気がするけど、アマリアさんみたいなおとなしそうな子がねぇ。ちょっと意外」
でね、レーア姉ちゃんはこんなよく解んない事を言った後に、
「村にはいないタイプの子だから、そういう所にひかれたのかもね」
僕には聞こえないくらいちっちゃな声でなんか言いながら、うんうんって頷いてたんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
ディック兄ちゃんのひとめぼれ、実はこれが最初にニコラさんたちを出そうと思ったきっかけだったりします。
相手がアマリアさんなのも最初からで、次にカールフェルト家がイーノックカウに行く時にこのエピソードを入れようと思っていました。
ただ、この先はまるで決まっていなかったりしますw
とりあえず案はあるのですが、イーノックカウとグランリルは結構離れているし、何よりディック兄ちゃんは一目ぼれしてますが、アマリアさんは今の所なんとも思ってないんですよね。
さてさて、どうなっていく事やら。